
実際の住環境における環境要素(温湿度、CO2濃度等)モニタリングと住環境スペック(換気設備、冷暖房設備、窓、扉、平面計画等)の360°画像VRデータをリンクさせたものを、「住環境デジタルツイン」とし、「住環境デジタルツイン」が在室者の住環境アフォーダンスを向上させ、省エネにも対応できる的確な「フェーズフリー」環境調節法を提案する。具体的なフィールドとして、冷房設備が導入された中高体育館を選び、授業・部活・イベント等の様々な用途に使用される体育館の冷房機器使用状況の実態を把握する。また「住環境デジタルツイン」が体育館利用者の冷房機器使用へ及ぼす影響を考察する。
新型コロナウイルス感染症を経験し、室内環境管理の重要性は高まっている。感染症拡大時、通常時の両方の状況に対応できるフェーズフリーの室内環境管理は、postコロナにおいて重要な要素である。空調管理者が常駐し、適切な空気質制御が行われている大規模建築以外の、学校、高齢者施設などの中規模建築では、室内環境の管理は専門知識をもたない在室者に任されている。そのような中規模建築では、十分な換気量を有する機械換気設備があるにもかかわらず、常時窓開けを行い、冷暖房費が増大する事例が報告されている。その背景には、建築の平面計画や設備計画ごとに異なる住環境制御のしくみが、専門知識のない在室者に伝わっていないこと、すなわち住環境システムのアフォーダンスが不足していることがある。そこで、各施設の平面計画、窓・戸・欄間設置状況、換気設備のスペック等の360°画像を作成し、室内環境(温湿度、CO2濃度、照度)のリアルタイムモニタリングとリンクさせ「住環境デジタルツイン」として、在室者の室内環境調節行動の手助けとなるシステムを構築する。①IoT利用室内環境モニタリング+②住環境スペックの3D表示=住環境デジタルツインである。

