現在、クラウドの人気は非常に高く、GAFAなどのIT大手は多くのクラウドサービスを提供している。今後,大都市圏におけるネットワーク環境は劇的に変化する。エッジコンピューティングのようにクラウドの分散化だけでなく、第5世代移動通信システム(5G)によるサービスが世界的に導入され始めている。このような大容量データ通信端末を基盤としたサービスが普及する前に、クラウドやエッジコンピューティングといったビッグデータを背景にもつネットワークサービスやそのインフラの信頼性確保と運用管理が非常に重要となる。
5Gやクラウド・エッジコンピューティング基盤は、大都市圏において様々な恩恵をもたらすが、軽微な障害発生が、個人情報の漏洩だけではなく多大な財産の損失を招くケースも多い。エッジコンピューティングを基盤とした数百億台の機器が5Gを介してネットにつながるような未来都市の「超データ社会」を実現するためには,図1に示すように、クラウドとのデータのやり取りをなるべく抑える必要があるため、中央集権型のクラウドだけでなくエッジコンピューティングと5Gに基づくサービス基盤の管理技術が鍵を握っている。
本研究ユニット「IoT&情報通信技術」では、未来都市研究機構の設置目的である東京圏を対象としたエイジングシティ問題、すなわち、インフラ、環境、生活、および健康といった大都市圏における全てを結び、それを下支えするネットワーク基盤に焦点をあてた基盤技術研究を推進する。
「超データ社会」を見据えたIoT&情報通信技術研究として、本研究では、東京圏を対象としたエイジングシティ問題、すなわち、インフラ、環境、生活、および健康といった大都市圏の抱える多くの問題に対して、近いうちに到来する「超データ社会」を活用した新たなデータ駆動型研究を目指す。すなわち、クラウド・エッジコンピューティングと5Gに基づく
エッジ・クラウド、計算機資源、OS、アプリケーション、確率モデル、および相関モデルをキーワードとしたアプローチにより研究を進める。エッジ・クラウド基盤は日々複雑さを増している。ハードウェアはCPU、メモリ、ストレージ、ネットワークなどから構成され、それらの構成や性能・容量も多種多様である。様々なサービスを提供するため、エッジ・クラウドを構成するハードウェア・ソフトウェア資源とサービス品質との関係は複雑である。本研究の目的は、このような複雑な関係を様々なアプローチにより解明し、ユーザが要求するサービス品質を満たすためのエッジ・クラウド資源の管理基盤を確立することである。
IoT&情報通信技術研究ユニットの特徴は、「超データ社会」を見据えたIoT&情報通信技術研究を推進していくにあたり、以下の3つのサブテーマに取り組む。
ビッグデータの分析技術、環境センサ技術、クラウド運用管理技術を結集して、「超データ社会」に潜む複雑な内部状態を把握し、ユーザが要求するサービス品質の達成を目指す。